障害者歯科DISABILITIES DENTAL

スペシャルニーズ外来のご案内

当院では、開業以来30年間にわたり心身にご病気をお持ちの方や、恐怖や不安が強くコミュニケーションを取るのが難しい方(スペシャルニーズのある方)の治療や予防に正面から取り組んでいます

十数年前私たちは、知的発達障害児にどのような支援が可能であるのか、彼らのニーズを把握・分析しました。その結果知的発達障害児の保護者は、当院のような地域の一般歯科医院に対して発達段階に合わせた対応を求めているのではなく、「近所のかかりつけ歯科医」的な要素を求めていることがわかったのです。また、「歯科医院に慣れるためのトレーニングや、視覚支援(=絵カードや写真で伝えるコミュニケーションツール)を用いたトレーニングなら、むし歯がなくても通いたい。」との意見も多くありました。

そこで私たちは、障害者の歯科保健で最も大切なものは、保健指導や予防を推進してニーズをシステム化することであると考え、今日まで対応してきました。

現在実行している主な対応策(システム)

①構造化と視覚支援

当院では、それぞれの特性にあわせた対応を行っています。例えば、自閉スペクトラム症(ASD)の人を診療する際は空間を区切ること、その日の診療内容や立ち位置を視覚的に提示することが大切です。当院では、周りの刺激を遮断し診療に集中しやすい環境を作るために個室を用意しています。個室が混んでいるときは、ロールカーテンなどでパーテーションを作ります。

視覚からの理解がしやすい人には、コミュニケーションツールとして絵カードや写真を使用しますが、多すぎないようにし、必ずいつ終わるかわかるようにしています。

②待ち時間への配慮

スペシャルニーズのある方は、待つことがとても苦手な方が多いです。例え予約時間の10分後にお呼びしても、その10分間がとても長い時間に感じて不安になり、パニックになってしまうこともあります。

当院ではできるだけお待たせしないように、またやむを得ない場合は、リラックスできる車などで待ってもらい、順番が来たら車まで呼びに行く等の工夫をしています。

③慣れるためのトレーニング

歯科治療に不安や恐怖を抱いている方に対し、歯科医院に慣れるためのトレーニングを行っています。歯みがきなどの簡単なことから行い、治療の道具も「見せるだけ」「頬にあてるだけ」そして「実際に口腔内に入れる」と徐々に慣らしていきます。できるだけ怖がらせないことが重要で、拒否反応が見られたらその日は無理をせず終了し、長い目でトレーニングしていきます。

④大学病院や障害者歯科センターとの連携

大きなむし歯で痛みがあるなど緊急性がある場合やむし歯が多数ある場合、また親知らずの抜歯などが必要な場合は、静脈麻酔や全身麻酔を視野に入れ、大学病院や障害者歯科センターなどの高次医療機関を紹介させて頂くことがあります。その場合、治療終了後は予防やトレーニングを通して再発防止に努めます。

⑤摂食・嚥下困難な方への食支援(リハビリテーション)

食事をするのに困難を感じる方へ、食べ方の指導や訓練を行っています。嚥下体操や発声訓練(パタカラなど)、アイスマッサージ、ブローイングなどの食べ物を実際に用いない訓練を行い、摂食嚥下機能の向上を図ります。また、他職種と連携して安全が確認されている場合は、実際に食べ物を使った訓練を行う場合もあります。舌の運動障害により舌と口蓋の接触が得られない場合は、舌接触補助床(PAP)などの口腔内装置を作製し、言語聴覚士などと連携をとりながら訓練を行い、舌運動の賦活化を図ります。

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